福田陽介

No.137 誤解してませんか?療法士にとって必要なエヴィデンス

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週刊 福田陽介

No.137 誤解してませんか?療法士にとって必要なエヴィデンス

 

2016年4月の診療報酬改定で、回復期病棟に質の評価が導入されました。

(詳しくはこちら→ 回復期リハビリ テーション病棟においてアウトカムの評価

 

ちょっと強引な解釈をすると、

「時間ばっかりかけて、結果が伴わないなら、リハビリテーション料の請求を認めませんよ」と、支払側から言われている、ということです。

 

これまで、リハビリテーションに対しての評価は「時間(量)」によって行われてきました。

そこには、「時間をかけたら社会復帰できることが多い」という根拠が存在したと推測します。

 

ボクが働き始めた16年前くらいの、社会というのは

「病気になったら(怪我をしたら)、良くなるまで病院で寝てればいいさ」

って本気で考えられていました。

 

びっくりでしょ?

 

もちろん、これは医療者側の頭の中ではなく、患者側の頭の中です。

 

体調が良くなるまで、病院では入院できていましたので、実際に病院で寝ていると、当然のことながら「残存機能、認知機能」の低下は起こります。

 

低下した状態では、自宅や会社で活動できないので「リハビリテーション」が活発に行われるようになりました。

しかも、「低下してからでは遅い。機能低下が起こる前に介入を始めないと、機能低下を避けられない」という考えに基づいて「早期リハビリテーション」が始まります。

 

早期リハが始まった頃の患者さんは

「まだ具合が悪いっていうのに、なんでリハビリなんてやるんだ!」

って怒るんですよ。

 

認知されていなかったのですよね、いろんなことが・・・。

 

病気や怪我の発症間もない状態から、早期にリハビリテーション介入をすると、医療に必要な時間が短縮できて、結果的に医療費を抑制することが可能となる、というデータをもとに、「急性期のリハビリテーション」には、「加算」がつきました。

 

いやらしい言い方をすると、「早期のリハビリテーション」はお金になったわけです。

 

そういった、「報酬」からの誘導によっても、各種報道のされ方によっても、「早期のリハビリテーション」は市民権を得て行ったのです。

 

「早く始めれば、早く良くなる」

という考えは、患者側にも受け入れられて、入院は短い方が良いという考え方も、定着していったように思います。(16年を振り返ると・・・)

 

こんな感じで、「診療報酬、介護報酬」のコントロールによって、医療・介護の考え方そのものが動かされます。

 

その「診療報酬、介護報酬」を動かす元になっているのは何か?

 

社会保障費という国家予算。

日本という国の収入(税金など)の一部を指します。

 

人口動態の変化、医療の高度化などによって、社会保障費というのは上がり続けています。

国の予算にも限りがあるので、社会保障費ばかりに使うことはできません。財源が抑えられていっているわけです。

 

そのなかで、手術に関係する報酬、薬に関係する部分などとの兼ね合いもあり、「リハビリテーションに関係する報酬」に「チェック」が入るわけですね。

 

 

「それ(リハビリ)、やってて効果あるの?」

 

これまで、行った時間に対して報酬を請求できていた「リハビリテーション料」。

「効果」の方に目を向けられてきました。

莫大な時間をかけても、効果のないことに、お金は出せませんよ。

という意思表示が、今回の診療報酬で出されたわけです。

(こちらも参考に→ 回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカムの評価

 

 

リハビリテーション料を請求する側にとっては、ついに来たか、という感じでしょう。

厳しい条件を突きつけられた、なんて感じる人もいるかもしれませんが、これ、当たり前の話です。

そういうこともあって「根拠」が重要だ、とずっとずうっと言われていたのです。

 

でも、これまで積み上げてきた根拠というのは

「◯◯という疾患の患者××名に、▲▲という方法を行ったところ、対照群に対して◆◆名の患者で改善が見られた。この▲▲という方法は、◯◯という患者に効果が期待できると示唆された」

というテンプレートに則ってきたように思います。(学会発表のほとんどはこの形ですよね?)

 

この根拠は、職人仲間の中だったら最高に美味しい根拠なのですけど、「リハビリテーションの必要性」っていう面では薄いんですよね。

 

だって

 

ある疾患に有効であるという根拠のある方法を行っても、在院日数の短縮や、ADLの改善につながらなければ、意味がないですよね。

 

リハビリの現場で求められるのって「根拠のある方法」じゃなくて「診療報酬が定めるリハビリテーションの質的評価をあげる方法」なんです。

 

いつも言うように

「そのやり方にエヴィデンスあるの?」

っていうセリフには、ほとんどの場面で意味はありません。

「そのやり方で、在院日数や総医療費やADL改善度に効果が出てるの?」

っていう問いは、かなり的を得ています。

 

 

リハビリテーションの価値を高めていくためには、エヴィデンスの構築は必要です。

ただし、「職人が喜ぶエヴィデンス」をベースにしても、自己満足以外は上がっていかないのではないでしょうか?

 

社会に必要と認められるための「評価項目」が、今回の報酬改定で突きつけられました。

自分たちの仕事の「結果」で見せていきましょう。

「在院日数」や「総医療費」という形で、皆さんが行ったリハビリの結果が表現され、リハビリの価値が認められていきます。

「やり方のエヴィデンス」にこだわっていると、支払う側からそっぽ向かれかねないですよ。

「求められる形」を表現していきましょう。

 

IAIRは患者さん、利用者さん、報酬支払側のニーズに応えられる療法士の育成を行っています。

IAIRのセミナーは→ http://www.iairhokuriku.jp/seminar/

この先、医療、介護は何を求められていって、リハビリ職者は何をすればいいか・・・

→第2回IAIR学会 http://iairjapan.jp/congress2016/

 

 

 

 

 

 

 

 

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